前回の記事に引き続いてSaaSにおけるUXデザインの実践についてまとめていきます。ブロックチェーンやAIなどといった最新技術を活用した新しいツールや、既存の技術を組み合わせてコンセプトで勝負してるサービスなど、様々なSaaSで今の市場は溢れかえっています。しかし、どのSaaSもごく一部の限られたエリアでしか利用されていなければ、ビジネスとして生き残っていくことはできません。前回は、製品かサービスかの捉え方の視点をまとめましたが、今回の記事では実際にビジネスとして成立させるために、どのようなプロセスをたどるべきか必要なアクションをまとめていきます。
ゲーム業界の知見をフル活用する
SaaSは製品化されたソフトウェアのことを指していますが、製品化をするためにコストを抑えないといけないので、多くのSaaSはクラウド化され安価で提供できる環境の下でビジネス展開されています。これはブラウザの技術進化やサーバーインフラの充実など様々な進歩によって実現できてるわけですが、では過去にSaaSが存在してなかったのかと言えばそうではありません。ソフトウェアを製品として販売しビジネスにしてたプレイヤーは昔から存在しています。その中でも注目すべきは、ゲーム業界です。
NintendoやSEGAなど古くから活動しているゲーム会社は、昔からゲームというソフトウェアを開発し、販売しビジネスをしています。もちろん専用のハードウェアを購入しないとゲームできないのですが、ハードウェアを買ってでも、ゲームソフトウェアを手に入れるというのは、それだけソフトウェアに魅力があるからです。言い換えれば、ソフトウェアに魅力がなければハードウェアは買われないですし、ゲーム業界は常にマーケティングをしないと生き残っていけない業界のため、ゲームソフトウェアを確実に売るために様々な知見を活用しています。これは、様々なゲームソフトウェアの成功の裏にある失敗体験を繰り返してきた結果、得られた知見です。この知見にはSaaS業界が理解・導入すべき多くの内容があります。


ゲーム業界でまず言われているのが、最初にコアファンを見つけることです。これは、ゲーム業界にいたAmy Jo Kimが提唱しているGame Thinkingでも提唱されていますが、まさにその通りで、疑いの余地はありません。これはゲームやSaaSに限らず現在のビジネスのほとんどにあてはまりますが、根底にあるのは普及学の考え方です。

この状況をSaaSで考えてみます。10年前と現在で比較したら、明らかに多くの既存製品の機能はかなり複雑で高度なものになっており、ユーザーにとってはそれが当たり前になっています。
例えばSkypeがリリースされた当時は、ビデオ通話できるサービスが少なかったため、独占的に市場を支配してましたが、今ではZoomやGoogle meetなど競合で溢れているため、各社こぞって機能を充実させています。あえて、この場所に勝負を挑もうとしている人がいるとしたら、他社を上回る機能やユーザビリティを最初から提供しなければビジネスの勝ち目はありません。一方で、ChatGPTのようにそれまで存在してなかったタイプの製品は、勝負できる機能的な強みが1つあればビジネスとして成立しやすいです。
しかし、どちらにも当てはまらない例として、Tinderがあります。Tinderはリリース段階でMatch.comのような強豪がすでに市場にいましたが、Tinderはソフトウェアを高機能で提供しないで、出会いの仕方を劇的に変えることでビジネスを成功に導いてます。Tinderの操作や機能自体は非常にシンプルなもので、特別な技術を使わなくてもビジネスとして成立しています。
このようにSaaSでは、提供する先の市場がすでにどういう状態なのかしっかりと見極めた上で、コアファンが何を欲しがっているのかを分析し、コアファンとともにビジネスが成長していくことが大事です。




















